SEO職の職務経歴書の書き方(具体例つき)

「SEO経験の棚卸し、職務経歴書の書き方はどうすれば?」
「職務経歴書が履歴書と同じような内容になってしまう……」
職務経歴書は履歴書同様、転職活動には欠かせない書類です。

今回は、以下の点について解説します。

  • 職務経歴書と履歴書の違い
  • 職務経験の棚卸し
  • SEO職の職務経歴書の書き方

具体例も交えながらご紹介するので、SEOポジションに特化した職務経歴書作りに役立ててください。

職務経歴書と履歴書の違い

転職活動を進めるうえで、職務経歴書は必須書類ですが、履歴書との違いが曖昧な方もいるようです。
履歴書は、応募者の基本情報、略歴をおおよそ把握してもらうための書類です。
対して、職務経歴書は、名称の通り経験してきた仕事について、時系列で具体的に記載します。言い換えると職務経歴書は、経験や実績をアピールできる書類です。

職務経験の棚卸し

職務経歴書を書き始める前に、キャリア棚卸しとも呼ばれる職務経験の棚卸しをしましょう。
この棚卸しをすることのメリットは、職務経歴書を書きやすくなるだけではなく、ご自身の今後の進む方向性を考えるモトにもなりますし、面接対策や志望動機を考える際に統一感のある答えを用意できるようになります。

棚卸しのステップ

ここでは5つのステップで進めます。順序を守らなければならないものではありません。ただし、順序よく進めたほうが整理がしやすいでしょう。

働いた会社名と在籍年月をまとめる

株式会社◯◯ 2010年4月~2014年3月

のように、過去から現在までの所属企業名を箇条書きでまとめいきましょう。

役職、担当役割をまとめる

長い期間在籍した会社では、期間の中で役職や所属部署、担当業務が変わった場合も多いかと思います。
ここでは、その期間と役職名・役割を記載していきます。この段階でのメモでは、ご自身が理解できる書き方であればOKです。該当企業内独自の名称などであっても構いません。
いくつかの業務を兼務していた場合は、同期間内でのウエイト(それぞれの業務にかけた時間割合)も記載できると良いでしょう。

例)◯◯事業部 SEO担当者 製品サイトのSEO 2010年4月~2011年3月

具体的な業務内容と成果、表彰

前段で記載した最小の期間ごとに(一つの担当役割を担っていた期間ごとに)具体的な業務内容と成果を記載します。
社内表彰など、客観的に評価されていたことが分かりやすいものもメモできると良いでしょう。

例)調理器具の製品案内サイトのSEO、新商品案内ページの追加、正しい使い方ページの追加、動画コンテンツの企画と制作。新規追加したページが調理器具のジャンル名で10位以内に表示、サイト全体の新規セッション数は1,000→2,500に増加。
社内表彰:2010年12月 社長賞

得られたスキル、経験

ここでは習得したスキルなどを整理します。
ここではスキル名で悩む方が多いため、「どういった業務をどの程度遂行できるスキルか」を記載していきましょう。

例)自社製品ブランド名で検索されているキーワードをリストアップし、製品グループ・購入前か後か、知りたいことのグループ分けをし、キーワード一覧表を作成。

例)よくあるご質問ページに構造化データを追加するため、コードを作成し、サイト制作業者に設置を依頼した。

自身の感想、思ったことを書き出す

このステップでは、ご自身のタイプをご自身で把握できるよう素直な気持ちで書き出していきましょう。

  • 目的や目標で腹落ちできた、一生懸命になれた
  • 目的や目標で納得感がない、注力できなかった
  • 仕事や業務が楽しいと感じた、一日があっという間だった
  • 仕事や業務が辛く感じた、つまらなかった
  • この人(上司や部下、同僚)は共に働きたい、尊敬する
  • この人(上司や部下、同僚)は共に働きたくない、軽蔑する
  • お客様との接点でポジティブな感想を持った
  • お客様との接点でネガティブな感想を持った
  • 会社の働き方や制度で、プライベート含め生活全体が良くなった
  • 会社の働き方や制度で、プライベート含め生活全体が悪くなった

上記に限定する必要はなく、ご自身の中でご自身を知るヒントになりそうなことは書き出して見ましょう。

SEO職の職務経歴書の書き方

ここまでの棚卸しが済んでいれば、あとは文章として整えたり、ご自身の意見を固めていく段階です。

職務経歴書の書き方には2通りあります。
一つは、応募先企業を決めた上で、その会社に合わせた書き方をする方法。もう一つは土台となるベーシックな職務経歴書を作成し、応募先企業に応じてカスタマイズを加えて行く方法です。手順としては前者の応募先企業を決めた上で個別に作成する方法が簡単で、作成作業量としては多くなります。(簡単だが、やや手間がかかる方法)

ここではこの応募先企業を決めた上での作成方法を説明します。この方法を理解できれば、ベーシックな職務経歴書をカスタムしていく方法もできるようになるでしょう。

①応募先企業の採用目的、適切な人材を把握する

SEOポジションで募集を出す企業の求人票を確認しましょう。
転職エージェントを利用している場合には、求人票にない情報を持っている場合があるため、情報収集の手助けを受けましょう。

企業が人材を採用する際の原理原則は、「会社の理念やバリューと合致する+戦略遂行上不足している役割を担える」人材か否かです。

求人票の必須スキルや歓迎スキルだけでは理解不足になることも多いです。下記点を整理していきます。

企業の理念、ビジョン

募集企業の経営理念、ミッション、ビジョン、バリューなど、大切にしていること・価値観を確認します。同意できるか、同意できる場合にはなぜ同意できるのかを説明してみます。

どういった事業、メディアを対象としているのか

業界業種、ビジネスモデル、競合、具体的な製品、提供サービスが世の中にどのような影響を及ぼすのかを確認します。過去の経験で近しいものがないかや業界特有の現場について基礎知識を持っている点はないか、実サービスを見たり試した経験がないかを確認します。

企業内で成長させる方法論のイメージがあるのか

組織面とも絡む内容ですが、具体的にどういったSEOを進めるか、社内でイメージがあるかを確認しましょう。求人票ではありそうに見えて、実態は採用した人材に任せる想定のケースもよくあります。ゼロから考え、実務の実行まで任せたいのか、それともチームリーダーなどのSEOを理解した人材が既におり、協力し合って実行を推進してほしいのかを把握できると良いでしょう。

取り組む組織体制や予算

事業部、マーケティング部門の規模を確認します。加えてSEO業務を担当するスタッフが何名か確認できると良いでしょう。(なかなかこのあたりの情報は表に出てこないため、面談・面接を進める中で確認することになるケースは多いです。)

加えて、他部署との連携についてや制作チーム(デザイン、コーディング、エンジニアリングなど)が内製か外注か、その体制なども分かると良いでしょう。具体的には対外ディレクション経験が優位に働くかの確認です。
予算規模は乏しい場合、経験のあつツール群が転職先では使用できない前提で面接等を進める必要があるかもしれません。

②職務経歴の詳細欄で、大枠を記載する

最新の就業先が先頭に来るよう、新しい順に記載します。
前述の棚卸しでまとめた、在籍企業、年月、役職や役割を記載していきますが、この際に事業部名や役職名は正確に書くことが大切です。一般的でない役職名の場合、括弧書きで一般的な役職名をそえても良いでしょう。

例)SEOシニアプランナー(課長職)

 

③アピールポイントを選ぶ

経験、保有するスキルのうち、ステップ①を鑑みながら応募先企業にアピールすべきポイントをまとめます。
これは職務経歴書に記載せず、手元にメモとしてまとめると良いでしょう。

④経歴の詳細(担当内容や実績などを記載する

担当したプロジェクト・期間・業務内容・実績を具体的に記載しましょう。
ステップ③で選んだ点を中心に記載します。

この際、実績は数字を用いて具体的に記載すると良いでしょう。ただし、現職が上場企業で内部でしか知り得ない直近の数字については扱いに注意が必要です。またハイレイヤー(SEO部門の責任者クラス)の場合には、情報の取扱スタンスを見られている場合があります。公開情報か非公開情報かを把握した上で、どのような記載とするか検討しましょう。

【具体例1】
担当サイトには注力キーワードが50あり、着任時平均順位が15位だったところ、4位まで引き上げることができました。順位がふるわないページのコンテンツを見直し、文面の改善と図解イラストの追加をしました。
サイト経由のお問い合わせは約60%増加し、売上も同様に伸びる結果となりました。

順位は他者も確認することができる指標です。またページ内コンテンツの変化も確認することが可能な内容です。こういった情報を実績に含めることは一つでしょう。
チームで実施した取り組み結果の場合、全てが個人の成果のように記載することはリスクが高いです。面接で深堀りされた際に、チームメンバーが担当した範囲等を理由に具体的な説明ができないケースもあるでしょう。成果を偽っているか、説明力が不足していると判断されかねません。記載できる実績が少ない場合には、業務に取り組む際の姿勢や工夫を記載しましょう。

⑤スキルを記載する

棚卸しで書き出したスキルを記載します。ここでのポイントは、一般的な単語で表現することと、応募先企業が求めているスキルを保有していることを伝える点です。

ここではSEO職における標準的なスキルについて補足します。

  • 戦略
    • SEOにおける戦略では、大きな減点箇所を修正する、細かな加点を取る、指名検索を増やす、コンテンツを拡充する・高品質にする、ナチュラルリンクを獲得する、動画や画像・ショッピングといった面を限定し改善する、といった絞り込んだ戦い方があります。相当に最適化が進んだサイトでない限り、短期的には注力ポイントを定めることが大切です。このような打ち手を絞り込む、その理由を説明できる力が戦略に関するスキルです。
  • 目標
    • 多くの企業では営業利益または売上高が事業内の共通した目標です。SEOにおいては、事業内共通目標、仮にここでは売上高として、売上目標を達成するために、SEOにおける目標に落とし込むことが求められます。
      売上◯◯円に対し、新規会員が△人増が必要。では会員登録ページへ訪れる人が□人必要。サイト内の回遊率は現状のままとして、グループA系コンテンツページの会員登録ページ遷移率が*%で、グループBとCが*%と*%であるから、目標達成に必要なサイトを訪問する新規ユーザー数は各グループごとに◯件、◯件、◯件が必要。
      と分解し、説明できる目標を設定する能力が目標設定能力です。
  • サイトのタイプ、規模
    • データベース型、CGM型、ブランドサイト型、ブログ型などタイプが違えば、効果的なSEO施策も異なります。
      経験のあるサイトタイプについて整理しましょう。特にECサイトや求人サイトなどに代表されるデータベース型はSEOを必要としている企業も多く、特有の難しさがあるため、経験有無が問われやすいです。(一覧をどう絞り込むか、表示件数やページャーを扱い、キーワード検索結果ページの扱いなど、意見を述べられるかが経験有りと言えるかの判断材料になるでしょう。)
  • テクニカル
    • titleタグ、altタグ、Hタグの正しい使い方や構造化データなどテクニカルな施策は範囲が広いです。ページ表示速度を上げる、レンダリングの仕組みを見直すこともあるでしょう。meta keywordsやlinkタグのnext、prevをどう使用すべきか意見が言えることは基礎知識の有無とも言えるでしょう。
  • コンテンツ
    • 情報の企画、執筆、編集力に加え、検索ユーザーの意図や希望をコンテンツへ反映させるスキルです。一時期多くの方が取り組んだ意図を全網羅する長文型だけでなく、知りたい順序の整理、一次情報を盛り込む企画力や取材力、定めた領域における専門性の高め方など、文章を書くだけでないスキルになっています。
  • ディレクション
    • SEO業務は施策実行の過程で多くの方と協働します。イラストレーター、ライター、デザイナー、マークアップエンジニアなど、チームで進める仕事も多いことから進行管理やスケジュール管理を含むディレクションはメジャーなスキルの一つです。
  • CVRO
    • 広告運用やLP制作担当者だけでなく、CVRの改善(向上)はSEOに求められることも増えているスキルです。ABテストの設計ができるか、オリジナルとテストの勝ち負けを集計できるか(またはABテストツールを使用できるか)、テスト箇所を決める勘所も含まれるでしょう。
  • 周辺部門の知識
    • SEO業務には、検索広告運用担当者、セミナーや配布資料作成担当者など、周辺のマーケティング・セールス部門との連携機会があります。この際に、周辺部門の業務内容や成果アップに関わる要素を理解していると、Search ConsoleやGAを見ている者として役立つ情報の共有や新たな連携機会の相談ができるでしょう。組織全体の成果アップに寄与できる人材であることをアピールできるスキル(知識)です。

MSOfficeのスキルについて記載すべきか相談を受けるケースがあります。これは求職者のレイヤー次第です。第二新卒クラスの若手であれば、ソフト操作のスキルがあることも記載すると良いでしょう。一方、年収1000万以上の管理職ポジションであれば、PC操作スキルの基礎は記載しないことが多いでしょう。

⑥保有資格を記載する

資格は、知識をアピールするだけでなく、向上心や熱意も示せます。
以下のようなSEOと関係性のある資格は記載できると良いでしょう。

  • Googleアナリティクス個人認定資格(GAIQ)
  • Web解析士
  • Google広告資格(SEOの資格ではないが、検索広告の知識があることを証明する目的で推奨)

普通自動車免許や国家資格を記載する点は、他職種と同様です。
民間資格は一定級数以上のケースに記載することが慣例です。例えば、英検5級は書きません。2級~が一般的です。TOEICは500点であれば書きません。600点以上を推奨するケースが多いですが、応募先がIT企業の場合、700点以上で記載とすることが増えています。
その他に、通常であれば記載しない資格であっても、応募先企業と関係性の強い資格は記載すると良いでしょう。例を挙げると、食品や飲料を扱う企業のSEOポジションに応募する場合、野菜に関する資格やお酒をセレクトする資格などがそうでしょう。コンテンツの企画や制作が業務範囲に含まれる場合には、業界に関する基礎知識があることや学習に前向きであることが伝わるよう心がけます。

職務要約を記載する

ここまででほぼ完成した職務経歴書を確認し、要約を記載します。
求人票にどういった経験者を求めているのか、人物像の記載がある場合には言葉を合わせることも一つです。

例えば、求人票に「SEO代理店で3年以上の経験」と書かれていれば、要約では「SEO代理店に5年在籍し、」といった書き出しにします。

マーケティング職種は、事業会社・広告代理店・Web制作会社など、どこに所属していたかによって業務内容が異なります。どの立場で、どういった業務を行なってきたのか3~4行で簡潔に記載します。

【具体例】
在学中からマーケティングに関心があり、2020年4月、SEO代理店である株式会社〇〇に入社しました。
外食チェーンブランドサイトの新規立ち上げ、転職サイトのコンテンツ作成を担当し、現在は新卒3名の育成、サポートを担当しています。

要約に書くべき点は、企業が求めるスキルや経験に合致しており、書類を丁寧に確認しよう、面接に進んでもらおうと判断されるための情報です。

自己PRを記載する

企業にあなたが貢献できる点をアピールしましょう。
①で整理した点をここでも用います。企業の理念、商材、状態、求められていることを理解し、アピールをしましょう。
あくまで企業は収益を上げ、事業を継続・発展させていくことが前提です。慈善事業に取り組みたいのかと勘違いされるような表現には注意が必要です。
応募者がアサイン予定の事業を勘違いしてPRするケースは見かけます。具体的には、主力事業が非常に有名だが、新規事業のSEOポジションだったケースなどです。これらは注意しましょう。

まとめ

職務経歴書は書類選考における最重要書類です。書きたいことを書くのではなく、採用企業側が知りたいことを記載できると良いでしょう。
人事担当者や部門長が職務経歴書でチェックしているポイントは、必要としているポジションへのスキルや経験のマッチ度合いです。
書き上げた職務経歴書を家族や転職エージェントにもチェックしてもらうとより良い仕上がりになるでしょう。

(無料)マーケター特化の転職支援サービス

マーケター特化だから細部まで「分かってくれる」転職支援サービス。スピーディーな対応で、最適かつ魅力的な求人をご提案いたします。