マーケターの将来性は高い!社会から必要とされる根拠やコツを解説
「マーケターの将来性ってどうなんだろう?AIに仕事を奪われてしまう?」
「マーケターとして将来的に活躍するためにはどうすればいい?」
マーケターは人気ある専門職ですが、AIに仕事を奪われる可能性があれば先行きが心配になるでしょう。
当記事は引き続きマーケターは重要な役割であり、将来性は明るいとの立場です。
そもそも将来性を不安視される背景(マーケターに限らず、どの職種もAIに仕事を奪われると言われていますが)、将来性は明るい理由、個々人でより必要とされる人材になるための視点を書いています。
マーケターの将来性が危惧される背景
背景、言い換えるとマーケターの必要性を危ぶむ要因について取り上げます。
価値観の多様化
大量生産大量消費から少量多品種生産の時代へ移り、個々のニッチなニーズにも応える商品の提供が整った現代。コト消費や体験消費に代表される所有や消費以外の価値観を重視する消費が増えています。(増えたのではなく、可視化されただけの可能性もあります。)
インフルエンサーに代表される価値観発信者を起点にした消費が活発になり、十人十色どころか千人千色な多様化が起きています。
提供価値を押し付けるマーケティングは効果が減衰していく中、マーケターの仕事は減っていくと言われるケースがあります。
しかし、仕事が減るのではなく、マーケターは受け取り手が何を得られるかを定めるのではなく、どういった思いで商品やサービスを届けたいのかを描く、新しい役割を担う必要性が出てくるという、変化の話だと思います。
メディアの多様化
テレビCMで広くリーチできる時代からWEB広告隆盛の時代を経て、メディアの種類は増え、AIによる個々への自動最適化を含めると無限とも言えるメディアを取り扱う時代になってきました。
起きていることは、広告成果計測の複雑さです。広告運用そのものにAIが関与し、最適化方法がブラックボックス化していることもあるでしょう。マーケターがExcelで集計し、広告の良し悪しを判断すること自体が難しくなってきました。これらもあり、マーケターの仕事はシステムに奪われると言われるケースがあります。
実際のところ、複雑な集計作業はシステム化が進むでしょう。一方、結果をどのように受け止め、次の改善に繋げるかの仕事が増え、マーケターの重要性は高まるものと考えています。
何より、集計結果は過去の数字です。製品ブランドのあるべき姿と、短期利益・長期利益をどう両立(または優先)させるかの判断は、集計結果だけでは判断できません。
LTV志向の厳格な収益管理
前述の集計のシステム化、自動化とも関連する部分ですが、経営資源の投資効率をより厳格に見る必要性が高まっています。シンプルに経営そのものが高度化した背景かと思いますが、プロモーション投資でも収益管理が厳格に問われるようになっていくでしょう。
検索広告の1CVが5000円でした、といった利益から遠い指標での運用ではなく、ユーザーAの想定LTVは20万で、獲得コストは3万円でした。ユーザーBの想定LTVは2000円で、獲得コストは3000円でした。といった緻密さが求められます。
当然にこれらの運用は手動では賄えません。広告面と顧客管理面を繋ぎ、管理していくことが必要になり、重要な点はLTVの高いユーザーを獲得する為の仮説を作ること、LTVを高める仕組みを考えることです。
ここでも同様、短期に精緻な数値が確認できるようになることで、より頻繁に仮説をアップデートする役割が求められます。
プライバシー保護
ここまでの通り、価値観や接触経路が複雑化し、そのため効果的なプロモーションには文脈を考慮した施策が求められます。
しかし、GDPRに代表されるデータ保護など、デジタル広告をより難しいものへと変えるルールが広がっています。伴って、広告出稿手法が制限され、マーケターの活躍の場がなくなるとの指摘があります。
企業が効率的に商品やサービスを販売するためのデータ利用は制限される流れですが、ユーザーが優れた体験をするためにデータ利用を許可することも一つの流れです。制限が加わる一方、よりユーザー視点に立った本質をつくマーケティングが必要になり、マーケターの必要性は役割を変えて(ウエイトを置く点が変わって)再出現するのではないでしょうか。
マーケターの仕事内容
マーケティングは、商品が売れる仕組みづくりと言われます。マーケターはこの仕組みを作ることが仕事です。
プロモーション業務を担う人がマーケターと言われることが多いですが、本来は、商品そのものやデリバリーの仕組み部分が要なはずです。
将来性を語る上で、仕事内容を改めて確認しましょう。
①どの市場に商品を投入するか決める
②消費者から選ばれる必然を考え、商品製造や届け方、収益の生み出し方を考える
③言葉や見え方を調整し、情報伝達の方法や時期、量を決める
④消費者への情報伝達をし、商品接点を作る
⑤効果を振り返る
⑥新しい仮説を作る
ある程度の市場規模が見込める領域は開拓し尽くされた傾向にありますが、価値観の変化や多様化が進む中で、新しい領域を早期に見つけ出すことや、多様化の中で共通項になる要素を見つけて、そこへ商品を投入していくこともこれからの仕事内容になりそうです。
マーケターに求められる点
データから何に注目し、どう解釈するか
施策結果やリサーチ結果は数字であって、その数字をどう受け止めるかが重要です。システム化が進む中で、集計作業等はシステムに奪われ、マーケターの仕事ではなくなっていきますが、集計結果から何を読み取り、どう意思決定するかが残ります。
例えば、奈良県民の5割が高評価をし、東京都民は2割が高評価をした商品があり、この商品の販売強化重点地域を決めるとします。
割合が高い奈良県か、高評価した人数が多い東京都かで意思決定が分かれる訳です。こういった仕事の重要性は高まり、業務に占める割合も高まるでしょう。
AIをどのように活用するか
新しい創造に、原因整理の壁打ち相手に、繰り返しタスクに、とAIをどこでどのように利用するかを考える力が求められてきています。AIエージェントなる言葉も見聞きするシーンが増えました。
当面は業務を適切に把握、分解し、タスクを任せる範囲や任せ方を考えることが求められるでしょう。
人間が担うことで価値が高まる業務を見つける
AIやシステムによる自動化が進む中で、人間による対応そのものが価値となるシーンが生まれてくると言われています。恐らく、そのシーンの中には人間だからこその価値に高低が生まれるはずです。
例えば、誰かが難題にぶつかり悩んでいたとしましょう。その悩みにAIが共感することと、人間が共感をすることで価値は異なるはずです。2者のスケジュールを確認し、共通の空き時間に打ち合わせを設定する作業も、人かシステムかで価値は異なるでしょう。
ただ、人間が担うことで高い価値を発揮するか否かはケースバイケースです。
法や倫理、受け取り方によるリスク管理
法令遵守は当然に、その企業の価値観や独特な倫理観に沿ったアウトプットはビジネス活動において重要です。
発信する情報そのものは正確で、非難されるものでなかったとしても、炎上リスクのある表現がAIにより作り出される場合があるでしょう。
当面の間は、正確性が限りなく100%に近づき、人間よりもミスが少ない存在になったとて、人間より発信前のチェック作業は必要になるでしょう。
マーケターと関連性の高い市場の変化
当記事の主軸なテーマではないですが、少し触れておきます。
①インターネット利用者数の増加
総務省が実施した通信利用動向調査によると、2021年においてインターネット利用率は全体82.9%。13〜49歳においては、利用率90%以上に。
②インターネット広告費の増加
総務省の媒体別広告費推移によると、2019年時点でインターネットがテレビ広告費を上回り逆転。
③IT人材の不足
経済産業省の調査によると、IT人材の需要と供給の差は、2025年36万人、2030年45万人の不足と試算。
マーケターとして将来性を高め、必要とされるために
マーケティング業務でより高い成果を出し、どこかも必要とされる人材になるためには、どういった知識、スキル、人間性を獲得するべきでしょうか。
ここからはマーケターとして将来性を高める点を中心にご紹介します。
業務プロセスの大半をデジタル化する
AIやデジタルを上手に活用するには、業務プロセスそのものがデジタル上にあるべきです。手書きの書類やマニュアルの口頭伝達など、AI活用時にコストを高める主因になるものをどうデジタル化するが重要です。すなわち、現在の業務を目的や求める成果ベースで見直し、置き換えるだけでない(手書きメモをWordファイルに書き起こすといった話ではない)工程見直し、新規に作る力を獲得・強化できると良いでしょう。
AIリテラシーの強化
ここまでで散々触れてきたAIのお話です。上手に使いこなすには特徴や欠点を知識として学び、試験や実践を通じてリテラシーを獲得する必要があります。
デジタルツールや媒体に関する知識
新しい技術や人々が関心が向けるものが新たに生まれ、衰退し、変化しを繰り返します。その中で各情報の概要を学ぶことに加えて、どういった課題やテーマと関連付けておくかを考えましょう。隅から隅まで学ぶだけでなく、引き出しから取り出しやすいようにタグ付けをしておくイメージです。
消費者心理の深堀り、理解力強化
消費者の本心を把握するためのインタビュー力かもしれませんし、当事者の思考順序をなぞる力かもしれません。あり物の情報だけで意思決定せず、必要な情報を取得し、正しく理解し、意思決定に結びつける力を養う必要があります。
魅力的な物語作成、発見力の強化
ストーリーテリングに代表されるコミュニケーション力を強化することが一例です。前述の深堀り力とも繋がりますが、生産者や製造者の日常に溶け込んだ物語を発見し、伝わりやすい形に再整形する力もここに含まれます。
規制、倫理等に起因するブランド毀損防止
リスク管理の項で述べた通り、人の目を通す、その人の知識や能力を高めましょうとのお話です。当面は責任の所在がAIにならない以上、最終確認ができる力はニーズのある力です。
まとめ
マーケターの将来性について、今後も明るいとの意見の根拠やそうあるためのお話を書いてきました。
知識不足、能力不足の作業担当者にならないよう、学びを継続し生き残るマーケターを目指してもらえると嬉しいです。