SEO担当者の採用を成功させるには?手順や費用を抑える方法

「SEO担当者の採用を成功させるにはどうすればいい?」
「SEO担当者を採用したいけど、予算が少ない……」

自社でウェブサイトを保有している企業にとって、優秀なSEO担当者の採用は事業成功に必要不可欠です。しかし、限られた予算で自社に合ったSEO人材を見つけることは難しいことも事実でしょう。SEO担当者の採用においては、正しい手順を踏んで、見極めるポイントをおさえることが重要です。

そこで本記事では、「SEO担当者の採用手順」・「SEO担当者の採用費用を抑える方法」をご紹介します。大企業・中小企業・代理店別のSEO担当者を採用する際のポイントも併せて解説します。最適なSEO人材を確保したい方は、ぜひ当記事をご覧ください。

SEO担当者の採用を成功させるための手順

SEO担当者に代表される専門職採用は、企業側と求職者側の知識差が大きくなりやすいです。企業側は既にSEO専門職が在籍している場合を除き、SEOの実務やスキルの磨き方などを深くは把握できていません。

このため、求人票の作成時や面接時の見極めなどで知識差に起因したギャップが発生したり、誤った意思決定をしてしまう場合があります。

企業側が求める人材像、求めるスキルを正しく定め、求職者に伝えることで採用後の「思った職場と違う」は減らすことができるでしょう。

本来であれば、スタート地点から入社までを手順とすべきですが、ここでは特に重要な求人公開前の手順を中心に説明します。

  1. SEOを強化し、叶えたいことを整理する
  2. 前項1に対し、必要なSEOスキルや経験をまとめる
  3. ここまでの内容をもとに、人物像を具体化する
  4. ジョブディスクリプション(JD)にまとめる
  5. 求人票の公開、書類選考、面接選考

それぞれ詳しくみていきましょう。

1.SEOを強化し、叶えたいことを整理する

まずは、SEOに取り組むことで叶えたい点を整理します。
具体的には、企業経営や事業運営においてSEOは目標達成への手段となるかと思います。この手段としてSEOをどう捉えるか、考えを持つ方にヒアリングしましょう。多くの場合、経営者や事業責任者です。

売上の目標、会員数の目標などが挙げられたら、人事は事業責任者に対し、「目標をどこまでブレイクダウンできるか?」確認しましょう。
ブレイクダウンの具体例を挙げます。売上目標→契約件数→商談件数→サイト経由(SEOによる)の商談件数→サイト経由のお問い合わせ数 このような分解です。

社内ではブレイクダウンできないケースもあるでしょう。これはこれで問題ありません。採用する人材が「事業目標からブレイクダウンできる」ことが重要であることに気がつけた訳です。

続いて、叶えたいことに対し期間(期限)と費用を設定しましょう。いつまでに、掛けられるコストはいくら程度までを定めます。

2.前項1に対し、必要なSEOスキルや経験をまとめる

汎用的なスキルと専門的なスキルに分けて、ここでは説明を進めます。
汎用的なスキルとして、マネジメントや幹部との意思疎通が挙げられるでしょう。数か年の中で大きな成果を望む場合には、通常はチームを組成して取り組むことになりますから、マネジメントスキルが求められます。幹部側がSEO知識に乏しい場合、SEO人材が経営部門に近い視座で、抽象度高い任務を現場作業に分解していく力が求められます。当然、P/Lの理解や予算管理などの知識も含まれるでしょう。これらはSEOに限定したスキルや経験ではないため、社内でまとめられる方が多くいるでしょう。

次に専門的なスキルについてです。ここでは代表的な5つを挙げます。
1つ目は、他部門との連携スキル、経験です。SEOは制作部門や他のマーケティング部門、営業部門と連携が発生しやすい役割です。(ビジネスの種類により、まったく不要なケースもあります。)複数部門を総合的に見て、成果の最大化を目指せるかとも言い換えできます。

次に、マーケティングの基本的なスキルで、顧客について理解を深める力や競合商品を学ぶ力、自社商品の強みや弱みを把握する力、自社のビジネスモデルを理解する力です。

任せたい業務がマニュアル化された簡単な業務ではなく、ご自身で課題を発見・設定し、解決策を試行錯誤しながら推進していただきたいポジションでは重要です。

3つ目は、内部施策、内部SEO等と呼ばれるウェブサイトの構造やソースコード、内部リンクやサイト表示速度などを改善するスキルや経験です。小規模なウェブサイトでは重要度が低く、数万ページで構成されるウェブサイトの場合や、EC・求人・口コミ系サイト等では、重要性が高まります。

(サイト構造が複雑になりやすいことや、構造化データ、リッチスニペットの表示など、積極的に改善したい点が豊富なことに起因します。)

4つ目は、コンテンツの作成スキルです。SEOにおけるコンテンツ作成スキルは、文章の執筆力(文章力)ではなく、上位表示させたいキーワードを精査し、ユーザーが知りたいことを整理し、正しく情報をまとめる力です。多くの企業では執筆作業を外注する場合が多いことから、ディレクションスキルを求めることも含まれます。

最後の5つ目は、分析スキルです。サイトの順位を計測しまとめる、Google Analyticsに代表されるアクセス解析ツールで集計する、ウェブサイトへのトラフィックがどのように会員登録や資料請求などへ繋がっているかを定量的に分析するスキルは、単独でPDCAを回す場合には必須のスキルと言えるでしょう。

3.ここまでの内容をもとに、人物像を具体化する

このステップでは、ペルソナを考える感覚で、人物像を具体的に想定します。例えば、下記の項目をうめてみるのは一つです。

  • どのような会社に属しているか
  • 具体的な会社名は
  • どのような事業のSEOを担っているか
  • 役職は
  • 部下はいるか
  • 担当業務の種類とその比率は
  • 年収は
  • 年齢は

SEOの代理店に務めていて、具体的な社名は◯◯社や△△社。クライアントはEC事業が多く、現在課長職。チームメンバーは3名で、育成指導も担当。比率はクライアント折衝2割、サイト内部の課題だし、解決策まとめが2割、個別商品ページの改善案だしが1割、メンバーが作成した施策案へのフィードバックが3割、社内制作部門との調整や社内会議が2割。

年収は600万前後で、年齢は28歳。

といった具合に、1~2種でも良いので書き出します。ダイレクトリクルーティングサービスを利用している企業であれば、この段階で、イメージに合致する人材がそもそも市場にいそうか、一度確認してみるのも良いでしょう。

4.ジョブディスクリプション(JD)にまとめる

求めるスキル、経験、人物像をもとにして、JDを作成します。準備したい項目を列挙します。

  • 企業のMVV
  • 事業の紹介
  • 募集ポジション名
  • 該当ポジションにおける数年後のゴール(事業における)
  • 職務内容
  • 求めるスキル、経験
  • 歓迎スキル

いくつかの項目について、補足します。

ポジション名は、社内人材にしか分からない用語とせず、一般的に広く重要と思われる要素を含めると良いでしょう。
単一事業の担当か、複数事業や社内横断的な役割か。担当業務はSEOの一部か網羅的か、他のマーケティング業務も兼務があるか。役職などです。

求めるスキルは事前に整理したものをベースに、Officeソフトの使用等を含め、ある程度網羅的に記載できると良いでしょう。

加えて、一般的な求人票へ記載する情報を作成します。

  • 雇用形態、報酬、勤務地、勤務時間・休暇、福利厚生、ほか

5.求人票の公開、書類選考、面接選考

募集開始のステップです。多くの企業で他職種と同一の工程で進めるものかと思います。
書類選考、面接選考時の注意点、特にSEOポジションだからこその注意点を記載します。

営業かコンサルティングか施策立案か実行か

代理店勤務経験のある求職者の場合、勤続年数=SEO業務経験とならない場合あります。最も多いのは営業業務が主務だった場合です。所属部署名はSEOの技術に詳しそうな名称であったり、コンサルティング部門に見える名称であったりしますが、実態は新規顧客開拓部門だったというケースは多いでしょう。
同様にポジション名や役職名もコンサルタントやアナリストなどと付いていても、実際は営業の場合があります。

クライアントのウェブサイトに対し、SEOを実施する部門もある程度規模の大きなSEO会社では、社内のマニュアル通りに調査する人、施策を考える人、指示通り作業する人に分かれます。募集ポジションが大枠から考える役割の場合には、この点に注意します。

独自ツール、市販ツール、手作業

SEO作業は繰り返し作業も多いことから、ツール類が発達しています。
求職者の経験のうち、ツールを使っての作業、手作業のものを把握できると良いでしょう。この点は、入社後のパフォーマンスと関係性が強いです。代理店などでは自社開発した独自ツールを使用している場合も多く、事業会社に転職し、そのツールがなくなると実務ができないケースが発生します。市販ツールは同じものを揃えると良い話ではありますが、各社ツールに割ける予算規模も異なるでしょう。用いていたツールに年間どの程度の費用がかかるかは把握できると良いでしょう。

【大企業・中小企業・代理店別】SEO担当者を採用する際のポイント

企業規模や種類によって、SEO担当者を採用する際のポイントは異なります。

そのため、ここからは大企業・中小企業・代理店、それぞれにおける採用難易度とチェックすべきスキルをご紹介します。

大企業

大企業はSEO職の求職者から人気があります。特に代理店から事業会社への転職希望者は多いでしょう。

大企業でSEO担当者を採用する場合、事前に下記点を整理しておきます。

  • 自社保有サイトを一覧にする
  • 各サイトの種類を分類する(例:データベース型、EC、メディア、サービス紹介、ユーザー投稿型)
  • 各サイトの規模を分類する(例:~100ページ、~1000ページ、~1万ページ、~10万ページ)

データベース型(求人ポータルや賃貸物件ポータルなど)は、条件掛け合わせをどうindexさせるかや一覧ページの作りをどうするかなど、特有の業務が多く含まれます。ユーザー投稿型(無料ブログサービスや掲示板サービスなど)は低品質なページの取り扱い方法など、こちらも特有の業務が多いです。

サイト規模においても、大規模なサイトは特有の難しさがあるため、役割に対し類似する経験の有無を確認することが大切です。

また、マーケティングやIT部門など、複数の部門と連携して業務を進める必要があるため、コミュニケーション能力も見極めましょう。

中小企業

地方の中小企業はSEO担当者の採用で苦労していると伺います。
他職種同様に、テレワークの活用など、働き方や福利厚生等で優位性を出すことも検討しましょう。
本質的な面では、中小企業の場合、SEO担当者にSEO領域のスキルを網羅的に求める傾向があります。場合によりWEBマーケティング全般のスキルを求める場合が多いです。
あれもこれも高いレベルで実行できる人材は貴重な人材です。大手であれば一千数百万ほどの年収提示になるでしょうから、ここで競うべきではありません。

  • 取り組みたいWEBマーケティング業務を分解し、社内と外注を織り交ぜる
  • 幅広い経験があるが、どれもジュニアレベルの人材を採用し、人も事業も共に育てていく

現実的な解としては、上記のどちらかになるでしょう。

代理店

代理店の採用は、経験者と未経験者で分けて考える必要があるでしょう。
経験者採用は、横の繋がりを強化していくか、経験が浅い層の採用に注力することが一般的です。

未経験者採用は、社内の育成環境がどの程度整っているかに影響を受けます。少数のうちは、幹部層自ら教育を進めることで育成が可能かと思いますが、規模拡大のフェーズには、採用後の受け入れ、育成体制、仕組みを整えておくべきでしょう。

社内1人目のSEO担当者を採用する際の注意点

社内1人目のSEO担当者を採用する際、自社が必要とするSEOスキルが分からない、SEOスキルの見極めができない問題があるでしょう。

ここまでの記事内でご紹介したスキル等の整理が困難な場合には、マーケターに強い人材紹介会社の協力を得るか、SEOの内製化支援会社のサポート受けることが無難でしょう。

企業文化にあうか、ビジネスパーソンの基礎スキルは現在の採用部門や経営層が見極めすることになり、募集要項をまとめる点と求職者が持つSEOスキルの見極め部分で外部支援を受けます。
面接での見極めに限定せず、SEOスキルを測るテストなどを設けることも一案です。

人材紹介会社(転職エージェント)利用時の手数料相場

SEO担当者を採用する際、人材紹介会社を利用した場合の費用についてです。
WEBマーケター(いわゆるデジタル人材)の場合、採用決定の成果報酬で、手数料は理論年収の35%前後が相場です。

転職者の理論年収紹介手数料
400万円140万円
500万円175万円
600万円210万円

SEO担当者の採用費用を抑える方法

前述の費用負担が難しい場合には、人材紹介会社経由での採用ではなく、他の費用を抑えた方法を選択する必要があります。
では、SEO担当者の採用費用を抑えるには、どうすれば良いのでしょうか。

SEO担当者の採用費用を抑える方法は、以下の3つです。

  • リファラル採用を強化する
  • 求人媒体を見直す
  • 選考プロセスを短くして、オンラインを活用する

リファラル採用とは、自社の社員が友人や知人を紹介する採用手法です。リファラル採用には、定着率の向上や選考プロセスの簡略化ができるメリットがあります。

人材紹介会社を利用せず、無料・安価な求人ポータルサイトに求人掲載をします。こちらも成果報酬のタイプと掲載固定費タイプとあるため、自社の都合にあうものを採用しましょう。

最後に選考プロセスの見直しについてです。オンライン会社説明会の開催やZOOMの活用したWeb面接、面接回数の削減などを取り入れることで、応募を得やすくなる効果があります。ひいては、コストを抑えた採用に繋がります。

まとめ

SEO担当者の採用を成功させるためには、かなり手間に感じたかと思いますが、目的や求めるスキルなどを丁寧に整理することに尽きます。
工数不足や知識不足なケースでは、得意とする外部業者を上手に活用しましょう。

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