マーケターとは?業務範囲や向いている人の特徴、必要な能力
「マーケターって複雑……簡単に説明してほしい」
「マーケターに向いている人の特徴は何?」
マーケターのアバウトなイメージはあっても、正しく整理できている人は少ないでしょう。そこで今回は「マーケターの定義」・「マーケターの業務範囲」・「マーケターに向いている人の特徴」をご紹介します。
マーケターとは
マーケターとは、商品・サービスが売れる仕組みを作る人です。広告を作る、メルマガ配信をするといったプロモーション業務を担う人をマーケターと定義する方もいますが、正確には誰に、何を、どこで、どのように売っていくか、継続して売れるようにするかを考える役割です。
マーケターは、以下のように幅広い業務が範囲に含まれます。
市場調査・分析 | 国勢調査やシンクタンク等の統計・リサーチデータを収集し、調査の仮説作りや追加調査の範囲を調整する市場やライバル会社の動向をインタビュー調査やアンケート調査し、市場のニーズやトレンドを把握・分析する |
既存顧客分析 | フレームワーク等を用いて、過去の契約に至った経路や割合、契約後の支払額を集計する商談やクレーム等のコメントを集計し、強み弱みの理解や改善ポイントをまとめる |
自社資源の確認 | 自社が保有するヒト・モノ・カネ・情報を整理し、特徴や優劣、量を把握する |
マーケティング戦略の策定 | 戦場の設定と理想的な勝ち方を定める自社資源の優れた点と競合の弱点を鑑み、具体的な戦術アイデアをリスト化する5~10年程度の長い期間の戦略から半年程度の期間を定めた戦略にブレイクダウンする |
プロダクト、プロモーション、ブランド戦略に分解する | プロダクトに関する要素の解像度を上げ、開発部門と連携の取れた戦略を策定する具体的な媒体や売り場を想定した注力手法等をまとめるブランドのコア、伝え方、守るべきことを整理し、実行案を策定する |
戦術の実行 | キャンペーン・イベントなどの販売促進活動を企画して実施する人材の追加採用や既存人材の育成をするプロダクト部門、クリエイティブ部門、営業部門等と連携し、計画を適宜見直す |
成果の分析、改善計画 | 施策実施の結果を定量的・定性的に評価・分析する分析結果をもとに、戦略や戦術の見直し、修正案での実行をする |
業界や企業によってマーケターの役割範囲が異なったり、ポジションによる違いもありますが、上記業務はマーケター業務の一例です。
加えて、マーケティング業界では、新しい手法やアプローチが日々進化しています。そのため、手法のR&Dに近しい業務がマーケター業務に含まれる場合があります。
マーケティングと営業の違い
マーケティングは、売れる仕組みを作ることと前述しました。営業は、商品を売ることです。
どちらが偉い、偉くないといった議論は無意味で、役割が異なります。
一般論ですが、商品の説明が不要で購買の意思決定が安易になされる領域では、マーケティング業務の重要性が高まります。一方、商品の機能やカスタマイズなど、説明や調整が強く求められる場合や、購買の意思決定までに時間を要する領域では、営業業務の重要性が高まります。
具体例を挙げるなら、小売店でコーラを売る場合には営業はさほど必要ありません。注文住宅を売る場合には、営業は必須と言えるでしょう。
他の違いとして、向き合う顧客の数があります。
マーケティングは、市場やターゲット層全体に施策をうつため、1対N(1対複数)の関係性です。営業は、顧客と1対1の関係にあることが多くこの点は異なるでしょう。
昨今、One to Oneマーケティングという方法論に取り組む企業が増えています。このOne to Oneは、マーケターがシステムを設定することでターゲット層全体に対し、一人ひとりの状況に合わせたカスタマイズされたプロモーションを計画・実行することを指すもので、営業の1対1とは異なります。
もう一点、時間軸についても取り上げます。
営業の多くは、1日~数か月程度の期間内で商品の提案・契約・納品を目指すケースが多いでしょう。既存顧客への営業やエンタープライズセールスなど、1年以上の期間で取り組む業務もありますが、マーケティングと比較した際、短い期間を前提とした取り組みが多いです。
一方のマーケティングは、ブランドの醸成やサービス名認知度の獲得といった数年から十数年の期間を想定した業務が多くあります。
新商品発売時にキャンペーンや広告をうち、小売店の棚をとれるようにすることや、セミナー会場を満席にできるようプロモーションをうつことも業務であり、これらプロジェクトは数か月程度の期間で完了する業務です。
マーケティングは1回の施策目標を達成させるためだけに最適化させるのではなく、中期の目標を見据えた最適化が重要となるため、個々に見ると短期間の業務も、数か年計画の一部分であることが多いでしょう。
マーケターに向いている人の7つの特徴
華やかなイメージもあるマーケターの仕事にも向き・不向きがあります。マーケターに向いている人の特徴は、以下の7つです。
- 主体的に行動できる
- 好奇心旺盛で変化を好む
- 人間関係を構築するのが得意
- メンタルが強い
- 相手の気持ちになって考えることが得意
- 数字・データを抵抗なく扱える
- 論理的思考から情報が整理できる
マーケターに向いているかどうか、あなたの性格と照らし合わせてみましょう。
①主体的に行動できる
誰かに引っ張ってもらうという意識ではなく、自ら行動を起こす必要があります。
クライアントへの提案やプロジェクトの進行、調整などでは、過去の事例を参考にするだけではいけません。自ら仮説を立てて、新しい施策を生みだせるマーケターが求められています。
PDCAサイクルをまわし、常に改善策を検討して実行していく姿勢が必要です。
②好奇心旺盛で変化を好む
限られた業界や分野だけでなく、どんなことにも興味や関心、疑問を持てる人が向いています。
変化が速い職域のため、最新情報・トレンドをキャッチアップするアンテナを日頃から立てておかなければなりません。トレンドは人の心理や行動にも影響され、目まぐるしく変化します。
そのため、行動心理学をはじめ、マーケティングに役立つ周辺知識の習得も望まれるでしょう。
また、便利なツールが次々と登場していますが、使いこなせなければ意味がありません。
変化に対して、ストレスなく敏感に反応できる人がマーケターに適しているといえるでしょう。
③人間関係を構築するのが得意
マーケターは他部署・関係会社・経営層など多くの人と関わって業務を進めていかなければなりません。クライアントに提案し、納得して受け入れてもらえるような説明力も必要です。
そのため、コミュニケーションスキルは必須であり、人付き合いが苦手な人には不向きな職業といえます。(人付き合いの苦手なマーケターが多いことも事実ではあります。)
④メンタルが強い
マーケターには、メンタルの強さや挑戦する気持ちが必要不可欠です。どんなに準備してプロジェクトを推し進めても、常に上手くいくとは限りません。小さな施策単位に切り出せば、半数近くは失敗となる業務範囲もあるでしょう。
ときには過去の実績にとらわれず自分の意見を主張するなど、諦めずに仮説・検証を繰り返す強靭な精神力が求められます。向上心を忘れず、強い熱意・大きな度胸があれば、スケールの大きな仕事もこなせられるはずです。
⑤相手の気持ちになって考えることが得意
顧客は何に困っているか、どの程度困っているか、商品を誰に届けることで一番満足度が高くなるか等、ペルソナの視点を持つことはマーケティングの出発点です。独身の若者が老夫婦の気持ちになって考える、業界経験のないマーケターが建築の現場監督の気持ちになって考える、こういった業務への相性が求められるでしょう。
⑥数字・データを抵抗なく扱える
商品・サービスの開発には、統計手法や解析ツールを用いて収集したデータの分析が欠かせません。収集データは、インターネットを活用した定量調査や消費者からの実際の声としての定性データが挙げられます。日常的なプロモーションの振り返りも、デジタル広告を用いる大半の職場では、データでの振り返りが必須です。
数字やデータを集め、分析して効果を判断する作業が習慣化できなければなりません。
⑥論理的思考から情報が整理できる
マーケターの仕事は、分からないことの連続です。市場調査で収集したデータ、自社の過去実績などを用いて、客観的にみて説明のつく仮説を作ることが求められます。
そのため、分からない中でも、論理的思考から情報を整理して、戦略立案する力は、マーケターに欠かせない力の一つと認識しておきましょう。
成功するマーケターに求められる3つの能力
マーケターとして成功するためには、以下の3つの能力を特に育てていく必要があります。
それぞれ詳しくみていきましょう。
①市場を見る力
マーケターは、市場を広く・深く見る力が必要です。
たとえ優れた商品・サービスがあっても、ターゲットを誤ったり、見せ方を誤れば、日の目を見ず、受け入れられず埋もれてしまう場合もあるでしょう。
②ユーザーを理解する力
向いている人の特徴でも触れましたが、ユーザーを理解する力は重要です。
大きく分けて、これから商品を買うであろうユーザー、既に自社商品を買っているユーザーの2種があり、後者の情報は前者の情報を補完する役割も担います。
これから商品を買うであろうユーザーをどういった人物像(ペルソナ)と定めるか、ペルソナは未来どのような行動や判断をするか予測する、この2点が求められます。
ペルソナを憑依させる、といった表現を使うマーケターもいるように、マーケター自身が作成した売り場、チラシ、バナー広告にペルソナがどう感じ取るかを想像する力を養いましょう。
③検証可能な仮説をたてる力
市場と顧客を理解し、施策を立案します。この際に、実行したプロモーション等は後日振り返りをし、良かった悪かった、その原因をまとめる必要があります。
シンプルに言えば、仮説を立て、実行し、検証する一連の作業です。そこで重要となるのが「検証できるか」です。素晴らしい閃きをもとにした施策であっても、効果検証の方法がなければ、「結果はよく分からなかった」で終わってしまいます。
マーケティングは仕組み作りです。優れた結果が出た施策を仕組みに組み込んでいくことが大切であり、成果が分からない施策はその後扱いようがありません。
(とは言いながらも、正確に計測できないが、誰の目にも明らかなほど多大な効果が出る施策種類もあるため、必ず全ての領域ではありません。)
まとめ
マーケターの定義、具体的な業務の種類などを取り上げてきました。
営業が顧客と1対1の関係を築くのに対して、マーケターは1対複数の関係から自社の商品・サービスを紹介します。
マーケターの求められる能力や合った特徴についても触れました。向いている人の特徴や求められる能力を把握して、マーケターとしての成長に役立ててください。