インハウスマーケターとは?重要性とメリット・デメリット

「インハウスマーケターはどんな仕事をするの?」
「インハウスと運用会社、どちらで働くほうがいいのかわからない……」
インハウスマーケターは、近年日本でも注目されている職種です。

インハウスマーケターの特徴を把握することは、マーケターとして働くうえで欠かせません。
インハウスマーケターの定義と、メリット・デメリットを理解して転職先企業を探すことが、雇用のミスマッチを防ぐことにもつながります。
そこで今回は「インハウスマーケターの仕事内容・重要性・メリット・デメリット」についてご紹介します。

インハウスマーケターとは

インハウスマーケターとは、企業に雇用され、マーケティング部門に所属して自社のマーケティング業務を担当する職種です。
インハウスマーケティングとは、一部または全てのマーケティング業務を外部委託せずに自社の社員が行なうことです。

そもそもインハウス(in-house)とは、直訳すると「家の中」を指します。ビジネスシーンでは、「自社の」「企業内・組織内」「自社で実施する」「内製化する」といった意味です。
インハウスの対義語はアウトソース(outsource)となり、「外部委託」「外注」を意味します。マーケティングは一般的にアウトソースされやすい業務の一つで、高度な知識・スキルを必要とします。そのため、自社でマーケターを採用・育成するには、時間もコストも膨らんでしまう難点があります。

インハウスマーケティングを行なう企業が増えている理由

海外では、コスト削減・ノウハウ蓄積・ブランドの一貫性維持などの観点から、インハウスマーケティングが主流となっています。
対して、日本におけるマーケティングでは、アウトソーシング(外部委託)が一般的です。

しかし近年では、日本企業でもインハウスマーケティングが徐々に導入されています。
日本でインハウスマーケティングを行なう企業が増えている理由は、以下のとおりです。

  • 専門的な作業を容易に行えるシステム等が発達、普及したから
  • デジタルマーケターの人口が増加したから
  • 消費者の購買行動、使用体験の重要度が増したから
  • 変化が速く、改善スピードが重要となったから

従来、人の手で行なっていた分析・効果測定やクリエイティブの企画作業などが便利なシステムの登場により、短時間で高品質なアウトプットが可能となってきました。

また、WEB広告の登場から約20年が経過し、デジタル広告市場規模の拡大もあり、経験者人口が増えてきたことも影響しているでしょう。(例:Google広告の登場が2002年)

他にも、UX(ユーザーエクスペリエンス)を重要視する企業が増え、マーケティング業務の専門的なテクニックだけでなく、自社の理念・製品仕様・アフタサポートなどの一連のサービス提供工程を深く理解した自社社員がマーケティングを実施することの強みを得やすくなったとも言えます。

新媒体の登場、新システムへの移行など、ノウハウそのものの変化速度が速くなり、トライアンドエラーを繰り返し、改善を進めることも重要となりました。一般的な代理店を利用するよりも、専任社員が取り組むことでのスピード感もインハウス化を促す理由の一つでしょう。

インハウスマーケターの仕事内容

インハウスマーケターが具体的に行なう仕事内容について、以下の表にまとめました。参考にしてみてください。

広告運用広告の出稿・運用ランディングページ、フォームの改善キャンペーンの企画、実行
コンテンツマーケティングウェブサイト情報の更新ブログ記事の執筆や効果計測資料の企画、作成
SEO(検索エンジン最適化)新製品用ウェブサイトの設計地図検索、画像検索への対応SearchConsoleを用いた問題の発見と改善
ソーシャルメディア運用Facebook・Instagram・X(Twitter)・YouTubeなどのアカウント管理コンテンツ制作または制作部門との連携フォロワーとのコミュニケーション
Eメールマーケティング見込み顧客・既存顧客に定期的なニュースレター・プロモーション情報をEメールで提供行動に合わせたプロモーションや営業との連携
リサーチ・データ分析市場調査・顧客のフィードバック収集・Webサイトのアクセス解析分析結果から施策別の費用対効果を集計施策のABテストを支援

これまで外部委託していた業務も上記には多く含まれますが、インハウスで行なう流れが来ています。

インハウスマーケターの重要性

インハウスマーケターの重要性は高まっています。企業視点で重要性が高まっている理由として、以下の6つが挙げられます。

  1. 金銭コストが削減できる
  2. コミュニケーションコストが削減できる
  3. 各業務のノウハウを社内に蓄積できる
  4. データを保護できる
  5. ブランドの一貫性を保てる
  6. 新しい社内キャリアパスが作れる

それぞれ詳しくみていきましょう。

金銭コストが削減できる

1つ目は、金銭コストが削減できることです。

例えば、Web広告運用をアウトソーシングした場合に、運用額の20%が手数料として請求されるとしましょう。
広告運用額がある程度の額になると、社員の人件費と比較し、インハウス化のメリットが出ます。広告運用額が月に200万円以下の場合などは、同時に他のチャネルも兼務させることで、コストメリットを得やすくなるでしょう。

コミュニケーションコストが削減できる

2つ目は、コミュニケーションコストが削減できることです。各工程をそれぞれ外部委託する場合、広告代理店・デザイン会社・コンテンツ制作会社などとやりとりしなければなりません。

初期段階での打ち合わせ・進捗状況の共有などのやりとりが分散化すれば、それだけ対応に手間も時間もかかってしまいます。
しかし、インハウス化するとコミュニケーションコストは劇的に低くなります。

市場が変化したり、方針変更があった場合に、社内のみであれば背景の共有が容易であるため、柔軟かつ迅速に対応可能です。PDCAを高速化でき、結果も早く出せるため、スピード感ある意思決定ができるでしょう。

各業務のノウハウを社内に蓄積できる

3つ目は、各業務のノウハウを社内に蓄積できることです。

成功と失敗の経験は、社内の人材が実践経験を重ねるからこそ得られます。最初は、体制基盤構築に苦労するかもしれません。
しかし、順調に進めば、ノウハウとして自社に蓄積でき、事業運営に寄与するでしょう。

データを保護できる

4つ目は、データを保護できることです。

外部委託する場合、広告等のテスト結果、検証データを開示する必要があります。
悪意ある漏洩を想定したものではなく、大切なノウハウを自社で囲い込みやすい点をイメージしてください。当然、インハウス化した場合も、社員の転職等によりノウハウ流出は防ぎきれませんが、代理店等への共有と比較し、時間軸がゆったりであると言えるでしょう。

ブランドの一貫性を保てる

5つ目は、ブランドの一貫性を保てることです。

インハウスであれば、ブランドのイメージやメッセージ性に統一感を持たせられます。
これは言い換えると、社員だからこそ時間や工数をかけて、自社ブランドに対する理解を深める投資がしやすいということです。
活動管理が正しくなされることで、ブランドの世界観の確立につながるでしょう。

⑥新しい社内キャリアパスが作れる

マーケターから幹部人材へのキャリアパスや、新卒・他部門からマーケターへのパスを築くことができます。
幹部人材のバックボーンに多様性が生まれることのメリットも一つですが、若手人材の離職防止や採用力強化にも一役買うでしょう。

インハウスマーケターには高い専門性が求められ、採用の難しさは残りますが、企業にとって多くのメリットをもたらすでしょう。

インハウスまたは運用会社、どちらで働く?

マーケターとしてインハウス(事業会社)で働くか、それとも運用会社・代理店でクライアントワークするか。
どちらで働くかは、転職活動を進めるうえで大きな決断となります。
インハウスまたは運用会社・代理店、それぞれで得られるスキルや経験は異なります。
ここからは、インハウスマーケターとして働くメリット・デメリットについて、みていきましょう。

インハウスマーケターとして働くメリット

  • 広告に限定せず、製品やサービスそのものに対してマーケティング活動ができる
  • 多くの場合、採用時点でどのサービスに対するマーケティング業務が分かって入社できる
  • 長期的な視点を持って、仕事に挑める
  • 専門業務だけでなく、社内の仕事を幅広く経験できる
  • 制作や営業など、他部門を巻き込んだ活動に挑戦できる

インハウスマーケターとして働くデメリット

  • 専門外の業務も任される場合があり、専門性を磨きづらい
  • 社外の人と接する機会が少ないため、情報収集源が絶たれてしまう
  • 一つのサービスのマーケティングを長期的に担当すると、スキルの拡張や経験が広がらない

運用会社・代理店に比べてインハウスでは、多種多様な業界・業種・商品やサービスのマーケティングに携わることが困難です。
インハウスマーケターとして働くメリット・デメリットを考慮して、あなたがどのようなキャリアを描きたいのか模索する必要があります。一つの考え方として、スキルの広さと深さについて、ご自身の希望を整理してみましょう。

まとめ:インハウスマーケターの特徴を理解して転職活動しよう

インハウスマーケターとは、企業のマーケティング部門に所属して、自社のマーケティング業務を担当する職種です。
海外ではインハウスマーケティングが主流ですが、近年、日本企業でもインハウスマーケティングが注目されています。

しかし、インハウスまたは運用会社・代理店、それぞれで得られるスキルや経験は異なります。
インハウスマーケターの特徴を理解して、あなたが目指すマーケター像に照らし合わせ転職活動を行ないましょう。

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