新卒でマーケターになるには。狙うべき応募先と事前準備の内容を解説
「新卒でマーケターになるのは難しい?」
「新卒でマーケターになるために今からできることはある?」
新卒採用は総合職が多く、入社時の配属がマーケティング部署になるかわからないケースが多いでしょう。
マーケティング職種での採用を明示する求人もありますが、高い倍率となる企業も多いです。
今回は、新卒でマーケターとして就職することをテーマに解説します。
新卒でマーケターとして働くのが難しい4つの理由
①そもそもマーケター新卒採用枠が少ないから
一般的な企業では、マーケティング職は数人程度しかおらず、ほかの職種に比べて元々の枠が限られています。100人程度の企業規模で3~5人程度が標準です。
また、枠が空いても、部署異動でマーケティング職を希望する方も一定数いるため、空きづらいことも理由です。
マーケターを多く抱える大手企業は、適性を見た上で配置したい意図や採用効率も考え、ポジションを指定した選考をする企業が少ない点も挙げられます。
②社内コミュニケーションが求められる役割だから
実際にマーケターとして働いたことのある方はイメージがつくかと思います。
マーケターは営業、開発、事務、クリエイティブ等のチームと情報連携や業務連携が必要です。このため、社内連携のお作法や広告予算の稟議等、学ぶ必要が多い役割である点も理由です。
③高度なスキルが求められるから
マーケターは、マーケティングスキル以外にも、以下のような複数の高度なスキルを同時に求められます。
- プレゼンテーション能力
- 情報収集能力
- データ分析力・思考力・判断力
- コミュニケーション能力
そのため、新卒を育てる場合には立ち上がりに時間がかかり、敬遠される傾向にあります。
④企業側に育てる環境が不足しているから
新卒がマーケターとして現場で価値発揮するには、会社の事業、戦略を理解し、各部署とのコミュニケーションを取り、ビジネスパーソンの基礎スキルを土台に、マーケティングの専門スキルを積み上げる必要があります。
これらをサポートできる環境やノウハウがない企業がまだまだ多く、(日本国内では、マーケティングへの取り組みがほぼなく、営業力だけで売上を立てている会社も多い)マーケティングポジションで新卒採用をできる企業(環境)が少ないためです。
結果的に、新卒ではなく中途の経験者を採用する企業が多いのはこのためです。
新卒でマーケターを目指すには、どこへ応募する?
新卒でマーケターを目指すためには、応募先に狙いを定める必要があります。
マーケターとしての就職を成功させるために、以下の3つの企業群を考えましょう。
(ここでの具体的な企業名は一例であり、どういった企業かイメージしやすくする目的で記載しています。)
職種別採用(マーケティング職含む)を実施する企業に応募する
外資系企業に多く、内資系でも広がりつつある職種別採用をしている企業に応募しましょう。
(職種別よりもさらに細かい、部署を指定した部署別採用企業も僅かですがあります。)
具体的な企業名は、以下のとおりです。
- P&Gジャパン
- ユニリーバ・ジャパン
- 日本ロレアル
- LVMH
- ネスレ日本
- 資生堂
- ソニー株式会社
- 花王株式会社
- ライオン株式会社
- 楽天グループ株式会社
- LINE株式会社
- 読売新聞
- マネーフォワード
- レバレジーズ株式会社
職種別採用は、入社直後の研修明けにマーケティング部署に配属される前提の採用です。
言い換えると、学業としてマーケティングをどう学んできたか、インターン等でどういった経験を積んだかというマーケターへの適性を見られる採用とも言えます。
採用人数は少ないケースが多く、ほかの応募方法よりも内定獲得は難しくなると覚えておきましょう。
事業開発に力を入れている会社に応募する
新規事業開発に力を入れている会社は事業数が増え続けるため、マーケターポジションも必然的に発生します。そのため、採用時に限らず、入社後の社内異動を含めマーケティング職につきやすいと言えるでしょう。
具体的な企業名は、以下のとおりです。
- ソニー株式会社
- サントリーホールディングス株式会社
- ソフトバンク株式会社
- KDDI株式会社
- 楽天グループ株式会社
- ヤフー株式会社
- キリンホールディングス
- 日清食品株式会社
- 株式会社リクルート
- 株式会社サイバーエージェント
- 株式会社ディー・エヌ・エー
注意が必要な点は、入社時にマーケティング職とならないケースについて、加えてマーケティング業務を外注しているケースについては考慮しましょう。
総合職採用なら、まず1年目は営業を経験しなければならない会社もあることを頭に入れておきましょう。
マーケティング支援会社に応募する
マーケティング支援会社とは、企業から業務を受託してマーケティングを行なう会社のことです。専門的にマーケティングを実施しているため、マーケティングに携わる社員が多くなります。
マーケティング支援会社の広告代理店・マーケティングコンサル・制作会社のうち、広告代理店に焦点を当てましょう。
特に、デジタルマーケティングを強みとする新興代理店は積極的に新卒採用を行なっているためおすすめです。具体的な広告代理店企業名は、以下のとおりです。
- 株式会社電通デジタル
- 株式会社スパイスボックス(博報堂DY)
- 株式会社サイバーエージェント
- 株式会社セプテーニ
- 株式会社デジタルホールディングス
- シンフォニーマーケティング株式会社
- 株式会社才流
- 株式会社AViC
- 株式会社マクロミル
- 株式会社デジタルガレージ
- 株式会社ブレインパッド
マーケティング支援会社でも営業職・事務職・人事職があります。
必ずしも新卒ですぐにマーケティング職に就けるとは限らないことを覚えておきましょう。
就活本番までに行なうべき6つの事前準備
マーケティングの基礎知識を学ぶ
マーケティングには学問として体系立てて学べるものと、体系化されていない知恵の集合体のようなものとあります。
まずはSTPやSWOT分析、3Cなどの基礎的な知識を学びましょう。
(実務の現場でSTPや3Cを使うことはほぼなくなっています。しかし、知識がある上で使わない選択をしていることが大切です。)
体系化されていない知恵の例を挙げると、人の購買意欲を高めるようなキャッチコピーの作成方法、理想的なSNSの投稿間隔などです。局所において効果があった体験をベースにしたものが中心で、どこまで汎用的なものか(法則と呼べるか)が不明瞭なものも多くあります。ここでは情報として知ることと、どういった狙いに対し、どういった取り組みをしているのかを学ぶとよいでしょう。
手順を学び、実行する
具体的な作業手順があるマーケティング業務に取り組んでみましょう。
具体的には、3か月以上の長期インターンに参加し、マーケティング業務の部分的なサポートを経験することです。
百聞は一見にしかずとも言いますが、知識だけでなく実践経験を得ることは重要です。加えて事前にマーケティングへの適正(ご自身が楽しいと思うかの感覚的なことも含めて)を確認できる機会にもなるでしょう。ここでの目的に就活のエントリシートや面接の材料とすることを含めても良いでしょう。
勉強用にSNSやブログアカウントを作り、運用する
インターン(アルバイトや業務委託含む)の中では体験できないこともあると思います。具体的には、効果がないと説明された施策や誤操作が起きた場合にダメージの大きな仕事です。
勉強用のアカウントを作成するなどし、効果のないとされる施策を実施し、失敗を経験してみることや、操作ミスが許されないツール操作などを経験します。
(例として、Search ConsoleというGoogle提供のツールがあります。このツールは操作ミスをすると、該当ウェブサイトのインデックスが消えてしまいます。インデックスが消えるというのは、Googleがサイトの存在を忘れるようなことで、検索結果に一切表示されなくなります。ビジネスの現場では許容できないミスですが、勉強用ブログであれば、ダメージは微小です。)
数字を集計する、分析する
架空の数字でも、勉強用アカウントの数字でも構いません。ウェブツール等で収集できる数字をもとに、レポートを作成することや数字に変化があった理由を考えてみましょう。
Excelやツール類の操作方法を学ぶこと、数字のまとめ方や着目すべき点を考えることが大切です。
資格を取得する
マーケターには業務上必須の資格はありません。(一部WEB広告の代理店で、全社員に取得を推奨する資格はあります。)しかし、資格を取得することは有効です。
いくつか理由がありますが、一つは資格取得を目標にすることで学びやすいこと、一つは就職活動中にマーケティングへの関心が高いことや自学自習で自律的な動きができる人材であることを間接的にアピールできる点にあります。
いくつかメジャーな資格をまとめます。
- 統計検定
- GAIQ
- マーケティング検定
- ウェブ解析士
面接対策をする
ここまでの各学びを正しく伝えられるよう整理すると良いでしょう。
加えて、ロジカルな思考力を重視する企業の選考を受ける場合には、ケース面接の対策も含めます。ケース面接とは、面接官から特定の課題が出題され、一定時間検討したあと回答する方式です。ケース面接では、論理的思考力・コミュニケーション能力・柔軟的思考がチェックされます。
まとめ
新卒でマーケターになることの難しい理由、その上での対策を説明してきました。
マーケターは非常に面白く、やりがいもある仕事です。何より将来性があり、汎用性のある知識や経験も得られます。
就活本番までに着実に準備を進め、希望が叶うよう頑張ってください。